2010年6月9日水曜日

8.「脅し」は「悲鳴」

心理的な戦術としての怒鳴る、声を荒げるといったテクニックも、あまりに激しく繰り返されると、交渉というより脅しととれるようなことがあります。これは、非常にやりにくい状態です。まともに話が進みそうな気がしません。そんなときには、ここでも、これをまともに受けるのではなく、冷静に考えてみることがたいせつです。

これも本当の意味での相手の感情ではなく、そんなに切羽詰ったテクニックを使用してくるということには、それなりの理由がある。或いは、先程まで、冷静に話を進めていたのにもかかわらず、突然、感情的に攻めてくるというのは、何か冷静でいられない理由がそこにあった。そんなふうに考えてみると、実は、相手が非常に苦しい立場に追い込まれていることに気がつきます。

このような態度は、「もう、これ以上は無理だ、どうにもならない」、「この辺でやめにしてくれ」といったメッセージであるとも言えます。脅しともとれるような罵声は、追い詰められた側が、最後の手段として、使ってくるテクニックでもあるのです。

その場の様子や言動に対して、そのまま反応してはいけません。そのまま受け取るのではなく、むしろ、逆さまに受け取ったほうが、正しい理解となるのかもしれません。

脅しや怒鳴り声には、冷静に対応することが重要です。決して気分の良いことではありませんが、言葉どおりに受け取るのではなく、これにより相手の限界を知り、この限界に対して適切な対応ができるようにすることが大切です。

相手の脅しは、結局のところ、これ以上踏み込まれると倒れるからやめてくれという相手からの悲鳴と同じなのである。怒声を浴びせられたら、こちらはじっくり冷静に応答するようにしたい。- 元外務省 北朝鮮班長/外交官 - (P169)
原田武夫 (2006) “元外交官が最前線で見てきた 超一級の外交術:勝者が必ず踏んでいた「7つのプロセス」とは” 青春出版社

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