2010年4月30日金曜日

【映画で学ぶ】ワンス アンド フォーエバー WE WERE SOLDIERS

「アポロ13号」のような危機的な状況を多くの関係者が知恵をしぼり解決するといったものとはことなり、こちらは戦争の一場面を元に多くのメッセージを含んでいます。

この多くのメッセージの中の一つに、
指揮官がどうあるべきなのかというテーマがあります。
もっと簡単にいうなら「上司としての責任」、「本当の意味でのリーダーシップとは何か」
ということです。

主役の指揮官は、危険なミッションを遂行するために部下を連れてベトナムの戦場に降り立ちますが、ヘリコプターから、"真っ先に降り"、そして、負傷者を出しながらも、常に、全員を連れて帰ることにこだわりつづけ、そして、戦場を後にする時には、全てを確認し、ヘリコプターに"一番最後に乗り込む"といったことが映し出されてます。

リーダーシップや上司としての行動みたいな話は、あちこちで聞かれ、本やセミナーで教えられていますが、この映画を見ると、ちょっと何か違うなあと感じてしまいます。

こんな視点で見ると、この映画もちょっとただの娯楽映画ではなく、重たい何かを感じることができます。

2010年4月24日土曜日

5.大多数への挑戦

会議に参加する大多数の人の意見と自分の意見が異なるとき、辛い立場に置かれることになります。このような状態では、あえて挑戦的な態度を取りたいと考える人を除いては、殆どの人は、困ってしまいます。心の中で「さて、困った、どうしようか」とつぶやくことになります。

こんな事態を克服するために、参加している人に話しかけ、理解を求めようと努力する人もいますが、面倒なので、とりあえず従うような素振りを見せるという人もいます。しかし、たとえ、理解を求めようと努力するつもりがあったとしても、そう簡単にはいきません。

自分の意見に賛成してくれそうな人が少しでもいたり、意見の根拠を真剣に聞いてもらいえる雰囲気があればいいのですが、必ずしもそんな場面だけではありません。多数派の意見がそれなりの根拠を持っていたり、地位の高い人が主張する意見であったりすれば、非常に異議を唱えづらい雰囲気となります。自分の意見を主張するには、強い意志と勇気が必要となります。どのタイミングで言うべきなのか、それは今なのか、たいへん迷うところです。

特に、会議にただ参加しているというのではなく、組織の代表として、或いは、リーダーとして参加しているようなときには、安易に話を見過ごすわけにはいきません。言うべきことを言う責任があります。簡単に周りの意見に同意というわけにはいきません。その決定内容は、自分だけでなく、多くの人たちに影響するからです。

更に、関係する組織が当然と思うようなこと、当たり前と考えることに対して、相反する意見を主張しなければならない時には、特に強い意志が必要となります。議論することがというより、話を切り出すこと自体が難しくなります。

こんな難しい状況下であろうとも、責任ある人にとっては、迷うことなく、常に言うべきことを言う毅然とした態度が必要となるのです。

「リーダーの仕事の中でもっとも勇気がいるのは、現体制をひっくり返し、多数派に挑戦することになるかもしれない情報を検討し判断を下すことである。- ニューヨーク消防局消防隊 隊長 - (P53)」
John Salka / Barret Neville (2004) “First in, Last out: Leadership Lessons from the New York Fire Department (人を動かす火事場の鉄則)” Portfolio Trade (講談社)

2010年4月11日日曜日

『プロフェッショナル』って、何のことだと思いますか?

『プロフェッショナル』というものについて、今まで様々な人により語られてきました。

TV番組
・プロフェッショナル 仕事の流儀, NHK
書籍
・プロフェッショナルの条件, P・F. ドラッカー
・ザ・プロフェッショナル, 大前 研一
・プロフェッショナルたちの脳活用法, 茂木 健一郎
・プロフェッショナル原論, 波頭 亮
これらや、多くの方のブログなどにおいても、語られています。

これらをみると、何か、「スペシャリスト」的に捉えていたり、かなり高度な知識や経験を持っている人を指していたり、また、そんなプロフェッショナルが持つべき「心構え」的なものに注目している場合が多いような気がしています。しかも、いずれも、ちょっと、普通、「そんな人いるのかなあ」と思うほど、志が高いものを言っている場合もあります。そして、一般の職業ではなく、弁護士、会計士、コンサルタントなどの特殊な職業と同義で使用する場合もあります。

しかし、このブログでの定義は、このような意味での「プロフェッショナル」というものではありません。ここでは、
プロフェッショナルとは、その仕事で生活している人
と定義したいと思います。

何か、あまりかっこよくないかもしれませんが、「プロフェッショナル」というのは、かっこいいものではなく、
・期待されていることを、期待されているように人
・当たり前のことを、当たり前のようにキチンとやる人
・行為や結果にムラノない人
・その仕事を生業としている人
・一般の人がやれないこと、やり難いことをやる人
といったことだと思っています。

以前、私自身も、特殊な職業で、ちょっとカタカタであることもあり、カッコいい、収入も高い人などのイメージで捉えていたところもありますが、仕事を始めてから20年以上経ち、いろいろな職業、人、場面を経験して思うのは、「プロの凄さは、毎日同じ事を同じようにやること」だと思うようになりました。
これが、意外に誰でもやれるようで、そう簡単にはできないことではないと。アマチュアなら、土日や、やりたい時にやればよかったとしても、プロフェッショナルとなると、そうはいかない。やれたり、やれなかったりでは、すまない。そう思うようになりました。

このような背景もあり、このブログ、「プロフェッショナル・マインド」では、このような定義とし、特に、特殊な専門職を対象とするのではなく、誰でも、その仕事で生活しているのであれば、「プロフェッショナル」と呼び、そして、そのプロフェッショナルの「前向きで、高尚な心構え」ではなく、「仕事をする上での当たり前なマインド」について考えて行きたいと思っています。

従って、
・特に特殊な職業でもない、普通のサラリーマン
・これから、学生等の「アマチュアな世界」から「プロフェッショナルは世界」へと進む人
・仕事をして長いが、「プロってなんだろう」と思っている人
・あまり、人から注目されるような仕事とは言えないが、でも、その仕事をずっと続けている人
・カッコよさだけじゃないと、何か気づいた人
・地味な仕事を率先してやっている人が、会社で評価されていないことに疑問を感じている人

など、こんな方に、このブログを見ていただければなあと思っています。

こんな、コンセプトで「プロフェッショナル・マインド」について、考えて行きたいと思います。

ご意見等のある方は、ぜひコメントいただければと思います。

【参考】
Professional Mind (プロフェッショナル・マインド)

2010年4月2日金曜日

4.判断力をもたらす経験と訓練の数

短い時間で何かを判断するには、あらかじめ決めておいた判断基準や直感が必要となりますが、これらは、やはり突然身に付けられるものではありません。何度も繰り返し訓練したり、実際の経験を数多くこなすことが、このような場面での判断を迅速なものとします。

業務改革のプロジェクトを担当していた頃、ちょっとした場面でしたが、少々いきづまっていたある会議において、こんな場面に遭遇しました。

ある時、数名で会議をしていました。意見が真っ向から対立し議論が続きます。それぞれの意見には、それなりの根拠がありました。一通り意見を出し合い答えを見出せず行き詰っていた時、その件に関係する取締役がふらりと会議室に入ってきました。二時間以上続いている会議の内容を隣に座っている人から聞くわけでもなく、ホワイトボートに書かれたいくつかの文字や絵をちらりと見てその人は、言いました。「重要なのは、その点ではない」この言葉の後、そう判断した根拠について話を聞くことになりましたが、参加者で誰も反対意見を述べるものはいませんでした。けっして立場が上だったからというのではなく、正しい判断だと誰もが思ったからです。

この時、経験の数、前提の理解、視野の広さが、複雑な場面においても、すぐに状況を理解させるものなのだということを理解することができました。重要な点を一瞬で理解し判断するのは、単に頭のよさや年齢などではないと学んだ瞬間です。

何か画期的なコツや技のようなものがあるわけではなく、日々起こる様々な事を貪欲に吸収し、広い視野を持ちつづけて、はじめて、今、その瞬間に何をすればいいのかが、目の前に見えてくるのだと思います。もちろん経験や訓練の中味についても大切ですが、それらを繰り返し行ったり、経験することが、重要な場面での適切な判断をもたらすことになります。少し地味な話ではありますが、これが真実なのだと思います。

「今この瞬間に、何がどうなっていて、何が一番重要なのかを判断し、すかさず行動に移るという習性を身につける必要があり、そのため地上で分析、検討と、それにもとづく操作の練習が重視される。- 元航空自衛隊 戦闘機パイロット- (P135)」
服部省吾 (1999) “戦闘機パイロットの空戦哲学 ” 光人社