2010年3月29日月曜日

2.言える雰囲気を作る

仕事では、自分一人で何かを考えるというより、複数の人とミーティングを開き、考えていくといったことが多いはずです。しかし、自分の意見にあまりにも自信があったり、こだわっていると、他の人の意見に耳を傾けることができません。聞いているように見えても、最初から答えが決まっており、何があってもそこに強引にもっていこうとするだけです。

研修において、意見をまとめてもらった後、その対極にある意見を考えてもらうことがあります。しかし、意外なことですが、この対極にある意見をすぐに上げることができない方がいます。自分の意見を持つことはできても、それと反対の意見については考えもつかないようです。

もし、リーダー的な役割の人が、他人の意見を聞こうとしない雰囲気を見せてしまうと、その場は、「無駄かもしれないけど、とりあえず、言ってみるか」と思うか、或いは、「言ってもしょうがないし、面倒だから黙っているか」と思うか、そんなことになってしまします。参加者は、もう、うんざりというか、時計を見ながら次の仕事のことを心配し始めます。

出来るだけ自分の思っていることをストレートに言えるような場面を研修では作るようにしていますが、ちょっと不思議なくらい盛り上がりをみせることがあります。「あっという間の時間だった」、「気持ちが楽になった」などの感想を得ることがあります。話合う機会が多いはずの会社では、意外にも、自分の意見を言うような場面が少ないようです。最近は、自分の意見を言うことが求められているように見えて、それを言うことが難しくなっているのかもしれません。

会社というのは、感情や感性を持った人の集まりです。ですから、論理性や合理性、そして、リーダーの持つ強固な意見を強調しすぎると、思ったことを率直に話す風土を失ってしまいます。結局、率直な意見や反対意見を述べたものにとっては、疲労感だけを残すことになってしまい、立場の上の人の意見のみが常に正しいという誤った状況を生み出してしまいます。

「リーダーは、メンバーの内の誰かが一人でも疑問をさし挟んだら、必ずもう一度確認する姿勢をとることが重要です。リーダーは日ごろから、このような場合に物を言いやすい雰囲気を作らなければなりません。部下が何か言うと、怒られたり、文句を言われそうだからおかしいと思ったけれども口に出さなかったというのはリーダーに責任があります。- 国際線旅客機 機長 - (P67)」
坂井優基 (2006) “パイロットが空から学んだ危機管理術” インデックス・コミュニケーションズ

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