2010年12月27日月曜日

14.思い込みによるミス

次に、望まない事態が起こる原因について、考えてみます。自然災害のような、どうすることも出来ないようなこともありますが、ほとんどの場合、人為的なミスが最終的に不本意な災難を生み出します。人為的なミスが、根本原因でなかったとしても、本来、回避できるはずのことを、ちょっとした人の不注意などが、問題を大きくすることがあります。機械の故障などの不都合なことが複数積み重なっていたとしても、その頂点に立つ人が最終的に正しくものを見て行動していれば、避けられたといったことも多いはずです。

人によるミスの原因は、「思い込み」や「勘違い」よるものです。オフィスにおいても、毎日のようにこんなことが起こります。会議の日時、重要な連絡事項、考慮すべき前提条件、書類の提出日など、事のインパクトも様々ですが、ミスのない日はありませんし、ミスをしない人などはなかなかいません。特に急いでいるときには、ミスをしてしまう可能性が著しく高くなります。

人の記憶や行動は、機械のように正確なものではありません。「確かに、確認したはずなのに」、「おかしいなあ、伝えたと思ったのですが」、「今、考えてみるとそう聞いたかもしれないのですが」といったふうに、曖昧な行動をとってしまいます。

このように、見えていたはずなのに見えていなかったり、実際にはやっていないにもかかわらずやったと思ったり、考えたこと逆さまの行動をとっていたりなど、こんなことが多くなっています。特に、精神的に余裕の無いときや、最初の状態から何かが変更されたときなどの混乱しているときにこのようなことが起きてしまいます。

やはり、人が関与する以上、必ずミスが起こるという前提に立ち、できるだけ、人に依存しないような防止策を考えていくことがたいせつです。そして、人に頼らざるを得ないようなことについては、思い込みによるミスの可能性を十分に考えた防止策が必要となってきます。

「人間が犯すエラーの中で大きな役割を占めるのに「思い込み」によるものがある。人間はいったん思い込みをしてしまうと、他から多くの情報を与えられても、その誤りに気がつかないものである。- 旅客機B747 機長 -(P66)」
杉江 弘 (2006) “機長が語るヒューマン・エラーの真実” ソフトバンククリエイティブ



【参考】
パイロット:旅客機 機長
パイロット:戦闘機
Heuristic (ヒューリスティック)
Human Error (ヒューマン・エラー)
Checklist (チェックリスト)


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